機能不全家族【家族に正解はある?子どもの心理的成長に必要なこと】
機能不全家族をとりまく思い
もしも、あなたが機能不全家族で育ったと自覚していて、さらに子どもがいる方がこの記事を読む上で留意していただきたい事
あなたが過去を振り返って幼少期の機能不全家族を振り返るとき、自分にも子どもがいるとどうしても自分の過去を振り返る前に、自分の今の親としての在り方にフォーカスが当たりやすくなってしまいます。
機能不全家族では、親子双方がそれぞれに辛い思いを抱えていることが少なくありません。
親からすれば、子育ての困難さに直面し、経済的支援や精神的サポートが得られず、行き詰まりを感じている方も多いのではないでしょうか。
一方、子ども時代の自分の立場からすれば、生活の基盤が揺らぎ、心の安定が得られない状況下で、心理的発達が阻害されてきたのも事実です。
しかし、この問題には親子双方が悪者ではありません。
時代背景だったり、社会的な支援が得られなかったり、情報が不足している側面が大きいと言えます。
難しいかもしれませんが、あなたが自分を振り返るときは、まず、自分が子どもだったときの立場で振り返ってみてください。
そして、自分と親の価値観の違いに気づくことが大きな目的です。大きな収穫は、自分の過去の価値観が変われば、今の世界の見え方が変わるのです。ですから、自分の過去を振り返った先、きっと今の子育ても変わってきます。
間違っても、自分の子どもを先に変えようとしないことです。もっと問題は複雑化します。まずは、自分の見えている世界、、、つまり今までの価値観を見直して今の自分に心地の良い価値観に変えるのです。
生きるために必要な資源
機能している家庭で一番必要なのは、生きていくために必要な資源です。それは、食事や住居、衣服に健康面のケアです。これらがなければ生きていけませんので、家族全員にこれらを提供する必要が家族全員にあります。機能不全家族では、弱い立場の子どもたちは、この生きていくための必要な資源すら提供されないことがあります。
ネグレクトされる子どもたち
経済的に問題がないのにも関わらず、長期にわたって子どもに食べ物を与えないとか、病気やけがをしても放置するとか、そういった生存に必要な物事を意図的に無視されている家庭の子どもをネグレクト(遺棄)された子どもと言われています。
経済的に自立していない家庭
経済的に自立できない家庭は、生活保護やその他の社会福祉制度を利用し、家族の必要とするものを満たすことが可能です。ですので、経済的自立をしていないということが、機能不全家族になるとは言えません。
ただし、家族の必要とするものを満たすための行動をまったく示さずに放置している場合、機能不全家族ということになります。
欲求5段階説
アブラハム・マズローの欲求5段階説からすると、まずは生理的欲求を満たす必要があると言われています。それは先に書いた、食事や住居、衣服に健康面のケアです。機能不全家族が、家族として機能するためにまず大切なのは、生存するために必要なことを満たすということです。
心理的成長のために子どもが望むこと
良い環境を与えているから機能しているとはいえない
子どもにお金をかけて塾にいかせるとか、部屋を一部屋与えてあげているとか、おこずかいは欲しいだけ与えているとか、とても良い環境を準備できる親であることもまた素晴らしい親としての能力です。
しかし、
子どもがそのような恵まれた環境下で、心理的成長がみられないとしたら、それは機能不全家族と言えます。
アメリカの心理学者ハリー・フレデリック・ハーローによる実験
ハーローは20世紀の心理学者で、特に「愛情」や「親子の絆」に関する実験で知られています。彼の最も有名な実験は、幼いアカゲザルに関するものです。
実験の内容:
- ハーローは幼いアカゲザルに2つの「母親」の代わりを提供しました。一つは金属製の「母親」で、これはミルクを供給できました。もう一つは布で覆われた「母親」で、これは暖かく感じるがミルクは供給できません。
- アカゲザルは食べ物が必要なときには金属の「母親」にアプローチしましたが、怖がっているときや安心を求めるときは布の「母親」の方に多くの時間を過ごしました。
この実験から、ハーローは以下の結論を導きました:
- 生物としての食物や栄養だけでなく、安心感や愛情も非常に重要である。
- 子供たちは愛情や安心感を求めて親に接近する傾向があり、これは生き物としての基本的なニーズの一部である。
この実験から、愛情がない環境で育つと、たとえ食べ物があっても、心は健全に成長しないことが分かりました。子どもにとって、親の愛情がいかに大切かが示された実験だと言えます。
ハーローの研究は、子どもの成長には親の愛情が欠かせないことを教えてくれています。親の愛情をたっぷり注ぐことが、子どもの心の成長には大切なのです。
「なんで言ってくれないの?」
親が子どもに「なんで言ってくれなかったの?」と質問することがあります。まるで言わなかった子どもの責任かのような言い回しになることがありますが、親も悪気はないのです。親も普段子育てや仕事や家事で1日にやらなくてはならないタスクでいっぱいです。でも、子どもからしたらそれは理解できません。子どもからしたら、言えるならとっくに言葉にしているはずですから、質問する前に、【言えるタイミングがなかったのかもしれない】ということに配慮すると違うかもしれません。
しかし、「なんで言ってくれなかったの?」と投げかけても悲観する必要はないと思います。子どもにとって家庭が、「話しやすい」環境ならば、問題が発生したときに「なんで言ってくれなかったの?」という投げかけをきっかけに話し合いが行われるならば、それによって解決を試みる態度がそこにはあるのですから、子どもは話せるきっかけは必ずあると思って安心できるのではないでしょうか。
子どもとの問題はなんでも解決できるというようなテクニックは存在しません。
なぜなら、子どももひとりひとりユニークな存在であり、その子どもに合わせる必要があるからです。
テクニックを使って、子どもをコントロールしようと思っている間は何も変わることはないと想像します。かといって、子どものしたいようにすることも問題解決にはなりませんよね。
では、どうすればいいのか。
それは家族を機能させるのです。
家族が機能しているとき、その家族には普遍的な原則(ルール)が存在しているのです。
機能している家族
スムーズに機能している家族であることを表す最も明瞭な指標の一つは、一貫性です。
健全に機能している家族は、感情が明瞭に表現され、各々が感情を分かち合う機会を与えられています。感情は、理解し、支援をしてくれる、思いやりのある人たちによって受け止められます。家族メンバーは自由に他のメンバーの関心を求めることができ、お返しに他のメンバーに関心をもちます。
○家族の言動に一貫性がある
○家族の役割が柔軟
○家族に共有されている秘密がない
○ユーモアのセンス
○家族成員はそれぞれ個人プライバシーを尊重され、自己という感覚を発達させている
○個々の家族成員は家族を持っているが、家族から去る事も自由
○家族成員間の葛藤は認められ、解決が試しみられる
○常に変化し続ける
○家族に一体感がある
○個人的成長を認められる
オープンなコミュニケーションと常に一貫性がある家庭で育った子供は、
「責任を持つこと」
「秩序立てること」
「現実性のあるゴールを設定すること」
「遊び、笑い、喜ぶこと」
などを学習します。
柔軟性と自発性も学習します。
人の感情を思いやって「人に手を貸す」概念を理解します。
「自己」の感覚を持ちながら集団に属すこともできます。
見えない空気という魔物
機能不全家族の中で生活していると、独特の空気感があります。
最悪なのは、子どもにとって張り詰めた空気がある家庭や無関心という空気のある家庭です。
そのような空気だと子どもが辛いと言えません。
機能不全家庭で育つ子どもが、心理的成長が止まってしまう原因はいくつもありますが、このような張り詰めた空気の中で生きてくると、安心して自分のことを考えられません。
そして大人になり、社会に出たら自分のことよりも周りの空気感に一番気をもみます。
そんな状態の人に、「自分を一番に考えるんだよ」「自分のことをもっと大切にして」と言われても、人より空気感に敏感なのだから、仕方ありません。
敏感になることで生き残ってこられたのだから、これは磨かれた才能だと私は思っています。
このような人たちは、空気をコントロールできる人と一緒にいたり、一人でいることで安心することができるのです。
安全な空間で生きてこれらなかったので、安心するという感覚を得てから出ないと、言われた本人は、もっと自分を追い込んでしまいがちです。
そんなときは、自分と他人の境界線を引くという作業をしてみることをおすすめします。